赤朽葉家の伝説

桜庭一樹


山陰の山間の村での製鉄所を営む旧家の3代の女性を描いた力作。
昭和初期を生きたサンカの血を引く祖母万葉と、60-80年代を荒々しく生きた母毛鞠と、現代を生きる娘瞳子の物語。
万葉の話は非常にぞくぞくする。千里眼を持つ万葉の一代記がとつとつと語られ、桜庭版「百年の孤独」といった趣。
毛鞠の話も悪くない。漫画のように戯画化された青春ものはテンポがいい。
しかしなあ、だからこそ最後が期待はずれなんだよなあ。瞳子にはなにもない。何もない話をするのはそれはそれで(たとえつまらなくても)いいんだけど、変なミステリ風味を加えるのはちょっと気になるなあ。そういや、「ブルースカイ」のときも似たような読後感だったな。
ラストがちょっと惜しいですが、ぐいぐい読ませるのは間違いないですが。