円環少女 7

長谷敏司

短編集
個々の短編のレベルが高く、楽しい。
でも、幕間の印象が強すぎる。どーすんだ、これ。
この作者は(他のを読んでないけど)読者に合わせて言葉を選ぶのでなく、物語にあわせて言葉を選んでいるため、読者は物語世界が分かるまで、分からないまま読み進めていくしかない。
ある意味、非常に難儀な物語で、あまり人口に膾炙しないかもしれないが、間違いなく豊穣な物語世界が広がっていて(設定が細かいとかそういう事じゃなく)そこにたどり着けた
読者だけがその物語世界に触れることができる。ような気がする。
一番ツボったのは紀子の父親が紀子にドキュメンタリーばっかり見せて、やたら感想を求めるところ。泣ける。